Kanako Kitahara's Blog
津軽にも春が来ました。秀麗な岩木山がその姿を見せてくれます。
以前、このブログで明治7年に弘前に住んでいたアーサー・マックレーというアメリカ人が岩木山のことを「Iwaki-san, Stone and tree mountain」と表記していたことを書きました。
このときは「いわきさん」という言葉を英訳したようです。でも、同じ岩木山を「いわきやま」と書いた外国人もいました。
明治8年にイギリス人の外交官ジョン・ハリントン・ガビンズ(John Harington Gubbins)は、青森から新潟への旅行の途中で弘前を通っています。そのとき彼は、この山のことを「Iwakiyama」と表記しています。
「いわきさん」「いわきやま」。どちらも正しいと思います。ただ、半年ほどここ弘前に住んでいたマックレーは、周囲の人たちから「いわきさん」という言い方を聞いたのでしょう。そして、旅行者だったガビンズに山の名前を教えてくれた人は「いわきやま」と伝えたのかもしれません。
明治初期の資料のおもしろい所は、英文資料から逆に読み方がわかったりするところです。たとえば人名でも、漢字表記からは、はっきりしなかった読み方が、英文表記でわかったりします。キリスト教で有名な本多庸一もその一人です。
近代の資料を見る時、こんなところにもちょっとした喜びを感じます。
なにはともあれ、津軽にも春が来ました。これからまた、雪に閉ざされるまでの時期、津軽平野は豊かな恵みを私たちに与えてくれます。楽しみな季節の到来です。