Kanako Kitahara's Blog
京都にある国際日本文化研究センター(日文研)に勤務している友人の郭南燕さんから、ご自身が編集した最新の日本研究についての本を送っていただきました。
日本人にとって「日本研究」ということばは、どのくらい一般的になじみがあるのだろうかと、ふと思います。グローバル化、国際化が推進されるようになって久しいですが、日本から出て行くだけではなく、日本を見る、すなわち海外から「日本」を対象として研究する人たちもいるわけです。
この本には、そうした海外の研究者による日本研究の様子が描かれています。中に収録されているだけでも、セルビア、ワルシャワ、カザフスタン、ロシア、イタリア、イギリス、フランス、アメリカ、韓国、中国、ベトナム、インド、と多くの国々で「日本研究」が行われていることに、一種眼を見張る感じがあります。
編者の郭南燕(Nanyan Guo)さんは、中国人ですが、日本人以上に日本語に親しみ、膨大な数の本を読みこなして、日本文学について研究して来られました。序文から一部引用します。
「海外の研究者は、各自の歴史と文化を基礎に置きながら、日本を知る。日本人にとって当たり前のことは、他国の人にとって異様に思われることもあれば、日本人が「独自」だと思うことが、海外から見て何の変哲もないこともある。つまり、日本を理解するには、日本内外の視点が必要である。日本に関する知識、観点、問題意識について絶えず交流すれば、より客観的な日本理解に結びつくだろう」(郭南燕「序 日本研究に必須な国際的視野」『世界の日本研究2017』p5より)
グローバル化とは、一見外に広がっていくことのようでありながら、逆に求心的に中へ中へとはいっていくことでもあるように思います。外を知れば知るほどに足元を知る必要性がでてくる、そういう動きがグローバル化の一面であろうと私自身は考えています。
これからこの本を楽しみに読み進めたいと思っています。
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