Kanako Kitahara's Blog
成田らくさんの資料を大切に保管しておられた成田家にお邪魔したとき、さまざまな資料を快く見せてくださいました。もう20年近く前のことになります。
そして、最後にご家族の中で大切にされてこられた小冊子をいただきました。
この中には、成田らくさんの子供さんたちが、母君を慕う追悼の文書が綴られていました。きわめて個人的な思い出を述べられているので、直接的な引用は控えますが、その中に浮かぶのは、夫に仕えて家庭の中を切り盛りし、8人の子供たちを見事に育て上げた一人の母の人生です。
読んでいて、涙がこぼれそうなところもたくさんありました。また明治初期に生まれ、高い教育を受けた女性がどのようなスタンスで人生を歩んだのか、女性史的な視点から参考になると思われる部分もありました。
らくさんは、当時男子の中等教育を受けた人たちが教科書として学んでいた世界史の英書を読みこなすだけの力があったようです。(これについては、2年ほど前にこのブログで書いているので、以下をご覧ください。)
高い教育を受け、学力を身につけ、女学校の先生を務めていた女性が、結婚後はあくまで一人の妻として、母として生きた人生が、成田らくさんの人生なのだと思います。
明治の時代の中で生きたその姿は、現代に生きる私の目にはとても素敵なものに思えております。
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