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Kanako Kitahara's Blog

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ジョン・イングの地学書と津軽

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東奥義塾には、1874年から1878年にかけて在職したジョン・イングの本が何冊か残っています。どういう本が残されているのか、ということから、当時のこの地方が「洋学」に求めたものの一端が浮かび上がります。

中でも興味深いのは、地学の本です。一般的な地学の教科書は他にもありますが、東奥義塾には専門書も残っています。バージョン 3

ここからわかるのは、1875年に刊行された専門書だということです。で、購入した人は、というと、本の中にサインが残されています。

バージョン 2

Jho Ing, Hirosaki 1st 1876, Japan.

と書かれています。いうまでもなく、ジョン・イングのサインで、彼はよく、自分の名前をJhoと書いてました。イングが弘前の東奥義塾に在職中に購入した本であることがわかります。

なぜこの本を買ったのかということ、また彼が東奥義塾の生徒だけではなく、そこに集まる地域の人たちに対して「洋学教師」的な存在だったということが、この本の存在を興味深いものにしています。

イング先生は、岩木山の測量方法を教え、山に出かけて鉱物を手にとって地質学も教えたと伝えられていますが、実際にこうした本を見ると、彼自身が勉強しながらがんばっていたことが伝わります。おそらくイングは、津軽の人たちと共に、この地方の近代化を目指してがんばってくれていたのだろうと思います。東奥義塾草創期に在職した外国人の中で、イングの名前が一番知られているのも、単に在職期間の長さだけではなく、こうした彼の生き方も影響しているかもしれません。

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