北原研究所

藍の研究

The Study of Indigo

藍の研究

研究紹介

弘前大学での研究

弊社社長北原晴男は、弘前大学在職中に、「地域資源の活用とゼロエミッション」をテーマとして、 歴史的な由来を持つ津軽の藍や青森県特産物であるニンニクの皮の生理活性物質の探求およびその実用化に取り組みました。

以下の4件について特許を取得しました。
①「藍草から得られた抗菌性物質及びこれを含有する各種組成物(特許第5239002号)」(北原晴男、花田勝美、福井徹)
②「IV型アレルギー反応抑制剤(特許第5023317号)」(北原晴男、佐藤佑、石川大悟、熊澤健一、中根明夫、花田勝美)
③「ニンニク由来の抗菌性物質およびその製造方法(特許第4437225号)」(北原晴男、佐々木成俊、半田智一、原田幸雄)
④「ニンニク由来の発芽抑制剤(特許第4450312号)」(北原晴男、加藤忠弘、小柴共一)

以上の内容は、弘前大学出版会刊行の「日英対訳 津軽の藍」(弘前大学出版会、2012)に紹介されています。

日英対訳 津軽の藍

また、藍の抗菌性研究は、サンスター社からスキンケアブランド「キアナ」として発売されました。

以下の「藍の化学」では、藍についての研究を紹介しています。

藍の化学-藍の抗菌性と薬の開発

抗菌性物質の探索

藍は染めものに用いられるだけではなく、さまざまな薬理効果が伝えられています。
その中で、藍は「肌に良い」とわれることから、皮膚炎症との関わりに注目しました。

皮膚炎には菌が大きくかかわってます。 そこで文献など詳細に探索し,Malassezia furfur菌(マラセチアフルフル)に着目しました。 M. furfur菌は澱風・脂漏性皮膚炎などの原因菌として知られていましたが、 つい最近この菌から9つのアレルゲンが見出され,アトピー性皮膚炎との関連から皮膚科学者から注目されています。 現在、最も対策が望まれているのはアトピー性皮膚炎で、先進工業国の人口の20%が患っているとも言われています。

◎「研究テーマ」

これらのことから弘前大学教育学部の北原研では 「M. furfur 菌に対する抗菌活性を指標としたアトピー性皮膚炎治療薬の開発研究」と設定しました。

◎ 抗菌性物質からアトピー性皮膚炎治療薬へ

タデ藍の乾燥葉からの抽出・分離・分画とその活性試験の繰返しによって、MIC:3.9μg/mlの高活性物質を単離し、その化学構造をTryptanthrin(トリプタンスリン)と同定しました。

抗菌活性試験の写真
抗菌活性試験の写真
(病体生理研究所 福井 徹 先生撮影)

この比較でわかるように、従来市販されていた医薬品に比べて、きわめて強い活性を持っています。

臨床試験の実施

弘前大学医学部皮膚科学教室・花田勝美教授(現・青森中央学院大学学長)のご指導の下、
弘前大学倫理委員会の厳しい審査を経て承認され、医学部皮膚科学講座において、マラセチアフルフル菌が原因となるアトピー性皮膚炎、毛包炎、癜風(デンプウ)へので臨床試験が行われました。

その結果,以下に示す通り、明らかな治癒効果が見られました。

(1)アトピー性皮膚炎の治癒効果です。

(2)マラセチア菌が原因となる毛包炎(ニキビ)の治癒効果です。

(3)癜風(デンプウ)への治癒効果です。

上記すべてに効果がみられることがわかります。

これらの成果は、東北テクノアーチ(東北大学TLO)から特許申請し、2013年に特許を取得しました。 また、弘前大学医学部細菌学講座・中根明夫教授のご協力も得て、IV型アレルギーについても特許を取得しました。

この研究成果は、2005年の日本薬学会第125年会で報告し、「講演ハイライト」に掲載されました(3500件の発表から71件選抜)

さらに2008年からサンスター株式会社と共に実用化に向けた共同研究が開始され、 2013年4月にスキンケアブランド「キアナ」として商品が発売されました。

このサンスター社のQiana には、上記で説明したように、北原研の研究に基づく、マラセチア菌に効果を持つ藍抽出エキスが、「藍潤エキス」として含まれています。

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