Kanako Kitahara's Blog
少し前のことですが、BASFに行ってきました。
藍染は、かつて世界各地で行われていました。
しかし、1890年、ドイツの化学者であるバイヤー(John Fridrich Wilhelm Adolf von Baeyer 1835-1917)が藍の色素インジゴの化学合成に成功し、1897年にドイツのBASF社による工業的実用化が実現しました。
BASF社はこれで巨額の利益を得て、大きく発展します。
それは同時に世界各地の伝統的な藍染が衰退することにもつながりました。
今、BASF社は藍から手をひきましたが、世界最大の化学会社となっています。
なにしろ、キャッチフレーズが We create Chemistry (われわれが化学を創る)
ここがビジターセンターです。
中にはいろいろな展示があって楽しめます。
これがBASF大発展の元となったインジゴの塊ですね。
ビジターセンターには誰でも入れるのですが、やはり最初に目を引くのはインジゴの塊。
それだけではなく、さまざまな色素についても展示されています。
こんなかんじ
特許証です。この特許の実用化によって、BASFの製品は独占的に世界中に周り、そして、世界各地で、手間のかかる天然藍染から合成藍の使用へと変わっていきました。
1890年にパテントオフィスができたことが説明されてました。
そして特許実用化により、世界に広がっていく様子も展示されています。
化学に関心持つ人たちが楽しめるような展示も工夫されてます。
ここに書かれている説明が、天然物有機化学の原理を伝えているように思います。 The synthetic manufacture of indigo dye by BASF illustrates two fundamental principles of chemistry: In analysis, a natural substance is reduced to its component parts and their importance for its properties determined. In synthesis a new substance is "constructed"-frequently from many different substances - which is as similar as possible to produce larger quantities at more reasonable prices - frequently the synthetic substance surpasses the original with regard to the desired properties by a great deal. (抄訳) BASF社の藍の合成は、化学の二つの原理を伝えている。分析は天然物質を構成する要素に還元して、その重要性を明らかにする。合成では、新しい物質が構築される。異なる物質を用い、より安価で多くの量を生産するため、できるだけ類似したものを作り出す。 そしてそれは、必要とされる目的に関連して、もとの物質を大きく上回ることもあるのである。
文化史的な視点から見ると、日本の場合は便利なインジゴに一度は移行するものの、各地で復興の兆しが出てきた、というところがおもしろいかなと思っています。
日本人はなぜ藍をもとめるのでしょうね。
#藍 #藍染 #BASF社 #化学 #インジゴ