Kanako Kitahara's Blog
かつてキリスト教プロテスタントのアメリカ人女性宣教師たちが中心になって『常磐』という雑誌が発行されていました。明治から大正にかけての時期です。これは日本語で書かれていて日本人女性向けに編集されていたもので、もちろん教会関係記事が多いのですが、中に女性宣教師が中心になって考えたと思われるレシピが時々でてきます。
一つ紹介してみたいと思います。大正六年の『常磐』第20号4巻掲載のレシピです。
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<ベークド(焼きたる)アップル(林檎)とライス(飯)>
林檎の皮をむき、心を去り、そのなかに砂糖と細に刻みたる乾し葡萄とを詰めこみ、半煮えの飯と一緒に焼き鉢に入れ、オブンにて焼くべし。もしも林檎に汁気の少なきときには、更に湯と砂糖とを加ふるもよし
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りんごとレーズンとご飯をオーブンで焼くという料理のようです。どちらかというとデザート系かと思われますが、ごはんをりんごと共にオーブンに入れるという料理がどのくらい受け入れられたか、ちょっと興味深い感じがします。
女性宣教師たちは、日本人に馴染み深い素材を活用して料理を考案・紹介することを心がけていたのかもしれません。でも、なかには「鳩のさばき方」というのもでてきたりしてます。大正期の日本人にとって、鳩を捌いて食べることが普通だったかどうかは、私はわからないのですが。。。
異文化に接した人たちの行動を見ると、衣食住の中でも、「食」は健康にもダイレクトに影響しますし、ある意味もっとも重要だったかもしれないと思います。これは大正期の話ですが、明治の初めには「食」についての、もっとさまざまな苦労話が伝わってました。それはまた別の機会に書きたいと思います。